第32話 「すがすがしい朝の遍路道」
この日は 日曜日です。朝早くから起きまして 家のお掃除を済ませたら早速 山のお寺へお写経に向かいました。
休日の朝は、車の通りも少なく とっても静かです。
住宅街を抜けて 山沿いの遍路道に入り、しばらく行きましたら高台の丘まで来ました。眺めましたら、今から行くお寺の山は 曇っていて 朝の霞がうっすらと覆っていました。
しばらく行きますと 東の方から 雲を通り抜けた柔らかな朝日の光が ほんのかすかに ススキの穂を照らし うっすらと輝きまました。
遍路道の朝は 通りゆく風や 土の色 艶やかな草の緑 そして紅葉の色 どこを見ましても とってもすがすがしい気持ちに させてくれます。
お寺のある山のふもとまで来る頃には 朝の強い日差しも 見え始めました。
でも、ゆっくりと山を登って行きますと だんだん深い木々に 覆われ始め 少しだけ暗くなってまいります。
上り坂が続きます。下をうつむいて上ります。
ちょっと一休み 又一休み ぼちぼちと急な坂を登って行きます。
途中お遍路さんのために 休憩してもらうための石で出来た椅子が 用意してくれています。そこに「よっこいしょ!。」と 腰かけさせていただきます。助かります。ありがたいです。
こうして休んでおりますと 静寂の中で 山の香りや 新鮮な空気に包まれて とても気分がよく感じてまいります。
目や耳 鼻 口 手や足 肩の力を抜いて体も 頭も とってもよく休まります。
汗もひいて、よく休憩できましたら、また登って行きます。
そして太陽の光が見え始めましたら、そしたら お寺までは もうすぐです。あと少し頑張ります。
ようやくお寺の山門をくぐりましたら 紅葉に飾られましたお寺の境内が 広がりました。
とっても すがすがしい気分にさせていただきました。ありがとうございました。